2016年

4月

08日

遺言を書くときは要注意

直近の最高裁判例のご紹介です。ポイント部分だけでもご参考になさってください。遺言は遺族の「争族」を防止し、円満な「相続」のために必要です。
Q.遺言書の作成者が遺言書の文面全体の左上から右下にかけて赤色ボールペンで一本の斜線を引いたら、遺言は無効になるの?

遺言書の破棄に関する最高裁判例(平成27年11月20日)
<ポイント>
◆遺言者が遺言書を破棄すれば遺言書は「無効」に
◆遺言書の一部改変については遺言「作成形式」による必要
◆読める状態であっても全体に斜線を引けば「破棄」
(総括)※遺言者が遺言書の効力を失わせたい場合には、シュレッダーにかけるなどはっきりとした処理を行うことがのぞましい***********************************************************************************
<説明>
(事案)遺言書の作成者が、遺言書の文面全体の左上から右下にかけて赤色ボールペンで一本の斜線を引いたことが、民法1024条前段の「故意に遺言書を破棄したとき」にあたるかどうかが争われた。
(条文)「遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。」(民法1024条前段)
(争点)
Q.「破棄」とはどのような行為か?
1.第1審広島地裁(平成25年11月28日)
2.第2審原審広島高裁(平成26年4月25日):遺言は有効
(理由)遺言者が斜線を引いた時点では少なくとも一時的に撤回の意思を有していたことを推認。しかし他方、遺言の撤回については、遺言の方式に従って行うことが要求されることから、これと同じ効果が導かれる遺言書の破棄の定義についても厳格に解釈されるべきであり、焼き捨て、切断、一部の切捨てなど遺言書自体の有形的破棄の場合のほか、遺言書を抹消して、内容を識別できない程度にする行為も破棄に当たるが、元の文字を判別できる程度の抹消であれば、破棄ではなく、変更ないし訂正として一定の形式を備えない限り元の文字が効力を持つことになる。そして本件では、遺言書の文字は判読できるので破棄にあたらないうえ、遺言者が斜線を引いたのちの遺言書を金庫に保管していたことからも、遺言の撤回という効果を認めることは妥当ではない。
3.最高裁判例(平成27年11月20日):遺言は無効
原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとして判決を取り消し、「遺言を無効」と判断。
(理由)
民法は、遺言書に改変を加える行為については、遺言の方式に従った厳格な方式を遵守することを要求しているが、これは遺言の効力を維持することを前提にしているのであるから、抹消後も元の文言が判読可能であれば、厳格な方式を具備していない限り抹消としての効力を否定するという判断もあり得る。ところが、赤色のボールペンで遺言書の文面全体に斜線を引く行為は、その行為の有する一般的な意味に照らして、その遺言書の全体を不要のものとし、そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れと見るのが相当であるから、その行為の効力について、一部の抹消の場合と同様に判断することはできない。=遺言書全体をなかったことにする破棄の場合には、遺言書を一部生かす形での改変の場合のように厳格な要件を認めるべきではないと判断。

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2016年

1月

11日

遺言はなぜ必要?何を書けばいいの?

 Q.遺言はなぜ必要ですか?どのような形式で何を書けばいいのですか?
・遺言は書く人の遺志を大切にし、残された相続人間の争いを予防するためにも必要です。

・遺言には大きく分けて、自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言があります。

 (自筆証書遺言)費用をかけずに簡単に作成できる。但し、厳格な法定要件すべてを自署しな

                 ければならない。「わずか」と思われることで遺言が無効となってしまう。

 (秘密証書遺言)遺言を封書後、公証役場にて証明を受ける。

 (公正証書遺言)公証人が遺言の厳格な各要件を確認後、公証役場で遺言者本人及び立会人2

                 で完成。

 ・この自筆証書遺言と秘密証書遺言とは、「紛失してしまう」おそれと本人の死亡後(相続開

   始後)に家庭裁判所の「検認手続き」を要します。

    とくにこの「検認手続き=本当に遺言者本人が書いたものであるかどうか?の審査」には時

   間がかかり、その間銀行口座も凍結されたままです。中には「遺言者本人の遺言ではない」

   と筆跡鑑定で相続人が訴訟などで争う場合もあります。費用・時間・心身の疲弊が生じま

   す。

 ・そこで私は「公正証書遺言」をお勧めします

  一般に、法定費用約35万円と法律専門家報酬10万円前後や相続対象財産の調査費用、立会

   人2名の報酬などはかかります。合計約20万円前後のケースが多いです。

     しかし、検認手続きも不要で相続人間の紛争を未然に防止することができます。

 

(以下ご参考までに)
 
厳格な要件が求められる「自筆証書遺言」で争われた事案を挙げておきます。

 

 Q.自筆で作成のうえ署名捺印した遺言書(自筆証書遺言)の全面に、その遺言者があとになって赤いボールペンで左上から右下にかけて斜線を引いた事案

 ・民法規定では、「自筆証書遺言の加除その他の変更」は一定の厳格な方式を守らなければな

   らない。また、遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺

   言を「撤回したものとみなす」と規定。

     但し、どのような行為が「破棄した」ことにあたるかまでは規定なし。

(第一審・第二審)なお有効

   遺言書中の加除その他の変更にあたるとしても一定の厳格な方式を守っているからなお有効。

(最高裁判所平成271120日判決)無効

 ・赤色のボールペンで遺言書の全面に斜線を引く行為は、その行為のもつ一般的な意味に照ら

 せばその遺言書の全体を不要なものとし、遺言の全ての効力を失わせる意思が表れているとみ

 るのが相当。

 ・「遺言者が故意に遺言書を破棄したとき」にあたり、遺言は撤回されたものとみなされると

 して無効。

 

Cf.自筆証書遺言が無効となった事案

 

Q. 自筆証書に「年月」しか書かれず「日」まで書かれていない事案 

(最高裁判所昭和521129日判決)

 「日付の記載が必要」であるとの民法所定の要件を充たしていないので無効

Q.自筆証書に昭和四拾壱年七月「吉日」と記されていた事案

(最高裁判所昭和54531日判決)

 自筆証書の日付は、暦上の特定の日を表示するものといえるように記載されるべき。「吉日」

 では暦上の特定の日を表示するものとはいえないから日付の記載を欠く。

Q. 実際の作成日よりも2年近く遡った日が自筆証書に記載されていた事案

(東京高等裁判所平成5323日判決)

 単なる誤記とは考えられず「不実の日付」の記載のある遺言書は、作成日の記載がない遺言書

 と同視すべきである。

Q.遺言の対象とされた不動産の目録が、司法書士が事務員に指示して「タイプ印書」させたものであったという事案 

(東京高等裁判所昭和59322日判決)

 遺言書の「全文の自書」を要求する民法の要件を充たさないことが明らかであるので、その遺

 言書が遺言者の意思に基づいて作成され、全体として遺言者の真意が表現されているとしても

 無効

 

 

 

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2015年

10月

15日

「宮っ子11月・12月号」(西宮市広報冊子)に掲載されます。

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交通事故・離婚・遺言・相続・VISA・契約・会社設立などの法律でお困りのこと。海や船のこと。
いつでもお気軽にご連絡ください。
宮っこ広告1002-3.pdf
PDFファイル 258.6 KB
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2015年

9月

07日

「サンケイリビング」に広告掲載されます!

 当事務所の広告記事を、サンケイリビング(神戸版・阪神版・大阪版etc...)に掲載させていただきます。
よろしかったらご覧くださいね。


 なお、昨日、消費者問題のトラブルについてのご相談がありました。
 このような問題の場合には、示談書(和解契約書)を公正証書にすることをお勧めします。後々の争いごとの蒸し返しを予防するとともに、公正証書に「強制執行認諾文言」を付記することによって費用と時間がかかる訴訟を避けることができます。

 このようなトラブルも、お気軽にご相談ください。

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2015年

8月

14日

相続が「争族」になってしまわないために!

【相続財産はどのように分けるといいのですか?】というご相談をよくお受けします。
 わかりやすく説明します。


相続人が1人だけの場合(単独相続)は、その1人が遺産を相続すれば問題はありません。

しかし、相続人が2人以上の場合(共同相続)の場合に、この「相続財産の分割方法(相続分)」が問題になります。


相続財産の分割方法には、2種類のパターンがあります。「法定相続」と「指定相続」です。

法定相続:法律で定められている相続人が、法律で定められた割合で相続財産を分割。

指定相続:亡くなられたかた(被相続人)の遺言がある場合に、この遺言に従って相続財産を   

      分割。
 

 法律(民法)は、被相続人の遺志を尊重するため、指定相続>法定相続。  

 つまり、遺言のある指定相続が法定相続よりも優先されます。

 但し、法定相続分を無視してまでの遺言による遺産分割にならないように、相続人に最低限度 

 の遺産分割は受けられるように、民法は規定しています。(遺留分といいます)


 また、もし遺言がなかった場合でも、法定相続分どおりに相続分を決める必要はありません。

 相続人全員で話し合って、分割方法(相続分)を決めることもできます。(遺産分割協議


 法律の専門用語が多いため、少し難しかったでしょうか?


 いつでもお気軽にご相談ください。


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